Faculty

素粒子論

准教授

三輪 光嗣Akitsugu Miwa

研究者情報

超弦理論と新しい双対性

自然界の最小の構成要素は何か。それらの間にはどういった相互作用が働くのか。素粒子物理学はこうした自然のミクロな領域の謎を解き明かそうとする研究分野です。何世紀にもわたる長い研究の積み重ねの結果、現代ではこうしたミクロの世界に対して多くの理解が得られています。自然界にはクォークとレプトンと呼ばれる粒子が存在し、それらの間には電磁相互作用と重力相互作用に加えて弱い相互作用と強い相互作用が作用します。これらの相互作用のうち重力を除く三つに関しては素粒子の標準模型と呼ばれるゲージ場の量子論で記述されることが実験で確認されています。一方で重力相互作用はミクロな領域での性質が悪く、通常の場の理論の枠組みを用いた量子化は困難であることが分かっています。こうした問題点を解決して重力の謎に迫ろうとする一つのアプローチが超弦理論です。この理論は自然界の最小構成要素が実は点粒子ではなく、一次元的な広がりを持った小さな弦だとする理論です。基本的な自由度に広がりを持たせることで、ミクロの領域での振る舞いが改善されると期待されています。また、超弦理論は重力だけではなくゲージ場の理論も含むことが分かっており、標準模型と重力相互作用を統一する理論の候補として期待されています。さらに、超弦理論はゲージ理論と重力理論の間に様々な双対性が存在することを予言します。こうした新しい双対性の研究では、ゲージ理論や重力理論に対する理解が得られるという興味に加えて、双対性そのものも興味深い研究対象です。

大学院のゼミ風景

所属学会

日本物理学会
素粒子論グループ

主な研究業績

これまでゲージ理論と重力理論の間の双対性(ゲージ/重力対応)の検証に力を入れてきました。この対応関係では注目しているシステムが大きな対称性を持つ場合に、しばしばゲージ理論側と重力理論側の双方で計算を厳密にあるいは近似的に実行することができます。そのため、こうしたシステムを調べることでゲージ/重力対応が実際に成り立つかどうか検証を行うことができます。実際に過去の研究では重力理論側で弦の伝搬を古典的に評価することでゲージ理論側のある種の相関関数が再現されることが分かりました。

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