Faculty

宇宙物理学

教授

岩本 弘一Kouichi Iwamoto

研究者情報

物理学で解き明かす宇宙の神秘

太陽などの恒星は核融合によりエネルギーを 生成し光り輝いています。太陽は水素核融合に よりヘリウムを合成している主系列星ですが、 太陽よりもずっと重い星は、水素燃焼に続きヘ リウム燃焼、さらに炭素、酸素の燃焼という具 合いに、より重い元素を合成していきます。最 後に鉄の中心核が形成されると、鉄がもっとも 安定であるため核融合はそれ以上進まなくな ります。ところが、星は光やニュートリノを放 射しながらエネルギーを失い続けるため、や がてプラズマの圧力により自身の重さを支え ることができなくなり、重力崩壊をおこしま す。このとき、星の中心部は中性子星やブラッ クホールになり、外層部分は崩壊のときに発生 する衝撃波により星間空間に放出され超新星 爆発となると考えられています。また、光速 に近い速さの相対論的ジェットからの放射と 考えられるガンマ線バーストという現象もブ ラックホール形成や超新星に関連して起きて いると推測されています。本研究室では、これ らの現象を理論や数値計算により調べる研究 を行っています。とくに超新星爆発の数値流体 シミュレーション、超新星からの光やニュート リノ放射、爆発時の元素合成、重力崩壊の数値 相対論シミュレーション、相対論的ジェットの 形成過程などを研究しています。その他、ガン マ線バーストや宇宙初期におきたとされるイ ンフレーション起源の重力波に関する研究も 行っています。一般相対論、素粒子、プラズマ 物理などを総動員し、宇宙の謎に挑んでいくこ とが、天体物理学の楽しさの一つと言えます。

図1

所属学会

日本天文学会
日本物理学会

主な研究業績

太陽の8 倍から10 倍程度の重さの星は電子捕獲反応(β崩壊の逆過程)によりニュートリノを放出して重力崩壊することを示しました。ガンマ線バーストに付随する超新星は普通の超新星の10 倍ものエネルギーをもつ極超新星であることを発見しました。Ia 型超新星からのニュートリノ放射のエネルギースペクトルを計算しました。ガンマ線バーストからの重力波や高次元宇宙モデルにおけるインフレーション起源の重力波のスペクトルを計算しました。相対論的ジェットの加速を一般相対論的な放射流体モデルによって調べました。

CSTサイエンスアカデミー

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