Faculty

核融合

教授

高橋 努Tsutomu Takahashi

研究者情報

人工太陽の実現をめざして

太陽や恒星は、核融合反応で発生するエネルギーで光り輝きながら進化しています。太陽を地上に人工的に創り、地球環境とエネルギーの問題を同時に解決することが、制御熱核融合研究の目的です。地上で人口太陽を実現するには、立方体1cc の中に温度5億度、100 兆個の粒子を1秒間閉じ込めることが必要です。燃料は、すべてプラズマ状態になります。金属容器では閉じ込めることができなくなり、プラズマ粒子と磁場との間に働くローレンツ力で閉じ込めます。この研究は、1950 年代から世界で開始されました。物理学科は、日本の核融合・プラズマ研究の発祥地の一つです。現在、トカマク方式による重水素-3重水素の自己点火プラズマの閉じ込め実証を目指す国際熱核融合炉(ITER)とJT-60SA の建設が2020 年前後の実験開始を目標に建設が進められています。

核融合科学研究室では、プラズマ理工学研究室と連携をとりながら、トカマク方式よりベータ値(磁場の利用効率)が非常に高い、磁場反転配位(FRC)に代表されるコンパクトトロイド(CT)の生成、閉じ込めに関する実験的研究を物理実験A 棟を中心に行っています。中性子発生が少なく、燃料サイクルとして放射性物質を使わない・発生しない重水素-ヘリウム反応核融合炉の実現を目指し、閉じ込め特性改善の手法や計測装置の開発研究を行っています。大学院生は、研究活動を通して、物作りの実践、物理現象の解明や工学原理を築く力の体得、社会人基礎力を涵養し、修了時には、自立した科学者や技術者になることを目指しています。(イラストは、研究成果のPOP13 で用いたNUCTE 装置です。)

所属学会

プラズマ・核融合学会
日本工学教育協会
日本インターンシップ推進協会

主な研究業績

FRC やCT に関する成果は、主にPhysics of Plasmas(9)、Nuclear Fusion(1)、 Journal of the Physical Society of Japan(3)、電気学会論文誌A (2)、Plasma Fusion Research (1) 等に、プラズマ計測法の成果は主にReview of Science Instrument (5) に発表しています。低密度生成法(Y. Ohkuma, et al., NF 38, 1501(1998))、光学的計測法(T. Takahashi, et al., RSI 75, 5205 (2004))、 移送速度制御法(T. Fujino, et al., POP 13, 012511 (2006))、 移送プラズマの特性(Y. Matsuzawa, et al. POP15, 082504 (2008))など科学研究費を獲得し、大学院に在籍する学生と行った成果が数多くあります。(括弧内の数は論文数)。

CSTサイエンスアカデミー

その他