Faculty

核融合

特任教授

飯尾 俊二Shunji Iio

飯尾俊二 特任教授

磁場閉じ込め核融合を中心として

主にトカマク装置での磁場閉じ込めプラズマの実験に従事し、巨視的MHD不安定性、エネルギー閉じ込め、粒子閉じ込めやダイバータ特性について研究してきました。必要な計測器の開発も行い、多チャンネル軟X線計測アレイとそのデータ取集システム、反磁性計測用超低ドリフト・アナログ積分器、プラズマのファラデー回転計測用CO2レーザー偏光計測器を製作し、それぞれの完成時点で世界最高性能を実現しました。

小型トカマク装置を製作し、スペースがほとんどないトーラス内側に設置することなく配置したサドル型コイル群が生成する簡易ヘリカル磁場を用いて、プラズマ位置を受動的に安定化できることを実証しました。プラズマ断面形状とプラズマ位置を精度よく計測するために、14本の磁束ループをステンレス・パイプに納めて真空容器内に設置した様子を図1の写真で示します。

図1

ここ数年は、常温核融合の1種である固体内核変換の実験にも取り組んでいます。パラジウム膜に数nm程度の厚さのCaO層を製膜して、重水素ガスを100℃程度で透過させると表面に電着した元素が別の元素に変換するという現象があります。報告されているCs-133 → Pr-141、Ba-137 → Sm-149の追試に成功し、別の核変換が起きないかどうか精査しています。

地球環境問題にも関心を持ち、人為起源の大気中二酸化炭素の地球温暖化への寄与をIPCCが過大評価していることについて、約10年前から機会がある度に啓発しています。2012年開催の第2回クオリアAGORAにて「地球温暖化―CO2主犯説を斬る」の題目で講演し、山極・前京大総長(当時教授)をパネラーに含むパネル討論で賛同を得ました。CO2の地球温暖化への寄与を定量化したものとして、気候感度という指標(CO2単独の効果と雲など他の要因を考え合わせたときCO2の倍増で気温が何℃上がるか)があります。IPCC第4次報告書では 「1.5℃~4.5℃。1.5℃以下は考えにくい。いちばん確からしいのは約3℃」としていたのに対して、最近の研究によると気候感度は0.4℃~0.7℃と評価されています。

所属学会

日本物理学会
プラズマ・核融合学会
日本原子力学会

主な研究業績

CSTサイエンスアカデミー

その他