Faculty

科学史

助教

雨宮 高久Takahisa Amemiya

研究者情報

物理学の歴史を調査・研究する

1955年にジュネーブで開催された第1回原子力平和利用会議の中で、議長であるホミ・J・バーバが「20 年以内に制御核融合炉は実現する」と発言したことに端を発し、「未来のエネルギー源としての核融合」が一般に広く認識されることになりました。そして、日本でも1958 年頃、当学科の核融合研究室をはじめとして、多くの大学や研究機関が核融合に関する研究を本格的に開始しました。日本の核融合研究は、同分野の先進国であるアメリカや旧ソ連と比べると約10 年遅れて始まりましたが、現在では世界の研究をリードする立場になっています。当研究室では核融合科学研究所・核融合アーカイブ室と共同でプラズマ・核融合研究開発の歴史を調査・研究しています。最近では、長年核融合研究に従事してきた方々へのインタビュー(写真は吉川允二・元JAEA 理事長へのインタビュー)を通じて、現存する史料の補完作業も行っています。また、当研究室では、明治・大正・昭和時代の物理学教科書における記述を調査することで、欧米から導入された物理学の概念や単位の定着過程を研究しています。日本の物理学を含む理科教育は、1871(明治4)年の文部省設立、1872(明治5) 年の「学制」、「小学教則」等の法律公布によって本格的に始まり、数多くの教科書が執筆されることになりました。その内容を見てみると、現在の教科書とは大きく異なる部分がいくつか存在します。最近では、江戸時代の科学書にも調査を拡げ、それらの書物が明治時代以降の教科書に与えた影響についても研究しています。

所属学会

日本物理学会
日本科学技術史学会
日本科学史学会
日本計量史学会

主な研究業績

プラズマ・核融合研究開発の歴史については「伏見康治による海外のプラズマ・核融合研究機関視察」や「核融合研究黎明期における日本核融合コミュニティの国際会議誘致の動き」について、教科書での物理学概念の変遷に関しては「明治・大正・昭和時代の物理教科書における力の単位・計量・概念」についての研究結果を論文として報告しました。また、最新の研究成果については所属する各学会にて発表しています。さらに、核融合科学研究所・核融合アーカイブズに関する共同研究に参画しています。

CSTサイエンスアカデミー

その他