Laboratory

物性生命情報理論研究室

物理学の研究分野は、大まかに素粒子物理学と物性物理学に分けられます。素粒子物理学とは物質の構成要素を研究する学問です。物性物理学とは身の回りのさまざまな物質、固体、ソフトマター、流体などの性質を研究する学問分野です。その物性物理学を理論的に研究しています。理論的な研究手法には紙と筆記用具による解析的な方法と、計算機によるシミュレーションの方法があります。それらをほどよくミックスして多角的な分析を展開しています。

物質科学のおもしろさ

素粒子物理学は物質を素粒子へどんどん分解していきますが、物性物理学はその逆で、素粒子等の根源物質を多数集めたときに何が起こるのか調べます。身の回りの例では水が凍るなどの相転移がそれです。つまり水分子数個では凍りません。

いろいろな相転移があります。超伝導も相転移です。例えば、真空中に電子を持ってきて極低温まで冷やしても超伝導にはなりません。超伝導とは「ある条件を満たした環境」に電子を「たくさん」集めなければ起こせません。つまり超伝導を起こすためには様々な元素をうまく組み合わせて超伝導ができる環境を作らなくてはなりません。そして電子を非常にたくさん集めなくてはなりません。素粒子の電子を2個真空中に持ってきても超伝導にはならないのです。

数値シミュレーション

問題を正確に解くことができない場合は近似を行わざるを得ませんが、その近似が正しいかどうか正確に判断することもまた難しい問題となります。そのような事情により方程式を計算機によりシミュレーションを行っています。研究室では、数値対化法、古典・量子モンテカルロ法、分子動力学法、フラグメント分子軌道法などを用いて様々な物理現象のシミュレーションを行っています。

解析的手法

厳密解の方法と近似解の方法があります。厳密解の方法とは、物理現象が記述される方程式をきちんと正確に解いて答えを得る方法のことです。理想気体などは簡単に解くことができますが、現実の物質は相互作用があるために理想気体ではありません。そのような場合は、方程式を正確に解くことができなくなり非常に難しい問題となります。平均場近似や、高次の摂動計算など様々な近似方法を駆使しています。

物理学の応用

物理学の研究においてこれまでに強力な解析方法が多数生み出されています。これらは他分野の問題解析にも威力を発揮しています。これらの応用の研究も行っています。ひとつの例として、モンテカルロ法、分子動力学、ランダム行列理論などの生命情報科学への応用があげられます。水溶液中の蛋白質や抗体の全原子分子動力学の時系列データをランダム行列理論で解析し、蛋白質ドメインの研究を行っています。

教員紹介

物性生命情報研究室

山中雅則
専門物性理論、生命情報理論